第4話『スタントマンになりたかった男』
- 豊田利晃

- 2021年3月29日
- 読了時間: 2分

制作プロデューサーは前二作から参加している村岡伸一郎。村岡とは27年前に『ファザーファッカー』の制作現場で出逢った。僕は25歳。村岡は十代だったと思う。監督は荒戸源次郎。プロデューサーは孫家邦。孫さんから「一日だけ手伝いに来い」と呼ばれ、結局、クランクアップまで残ることになった。現場が混沌としていたからだ。現場の制作部のお手伝いと、監督のお手伝いをしていた。長崎の早岐で合宿をして撮影していて、食事は食堂で作っていた。僕も食事班を手伝っていた。村岡も食事班で参加していた。その頃の村岡青年はまだ十代の不良の気分が収まっていなく、「バイクのスタントマンになりたい」と夢を熱く語っていた。初めての映画の現場が面白かったらしく、その後、荒戸さんの下で映画の世界に入ってきた。『赤目四十八瀧心中未遂』『ゲルマニウムの夜』の借金を鉄塔工事の仕事で二年かけて返済した。そして映画界に戻り、今はC.C.Pという会社を経営して、『脳天パラダイス』など新しい映画を手がけている。
阪本順治監督の還暦パーティーで久しぶりに再会したときに、「映画に呼んで下さい」とさらっと声をかけられた。そのときに企画していた『狼煙が呼ぶ』にすぐに巻き込んだ。古い旧友はどこか奥底で信用できるものがある。大切なのは仕事が上手いか下手かではなく、スピリットだと思っている。映画という戦場で戦うときに仲間は多いほうがいい。仲間と呼べる人たちと仕事をしていると家族のようなものを感じる。その団結力は映画にマジックを起こす。『全員切腹』も一番最初に村岡に声をかけた。今日も村岡と打ち合せだ。
2021年3月29日 豊田利晃




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