第24話『鼓童との再会』
- 豊田利晃

- 2021年5月19日
- 読了時間: 1分

半年ぶりに訪れた佐渡島は極寒の12月とは違い、夏のように暖かかった。新緑が青色が生命力を漲らせて生まれ変わっていくようだ。音楽録音に立ち合うために一人で船に乗ってここに来た。鼓童村へ行くと、馴染みの顔と挨拶を交わす。みんな、優しく、あたたかい。人は季節とともに感情も変わっていくのだと思う。だが、練習場の風景だけは何ひとつ変わらない。四方にずらりと並ぶ太鼓の量がそのストイックな太鼓叩きの生き方を伝えている。中込健太と住吉佑太が大きな画面に映った映像に合わせて太鼓を叩いていく。役者の感情に合わせて、繊細に太鼓を鳴らしていく。その太鼓での感情表現の見事さにゾクゾクする。大太鼓の生音はビリビリと場を揺らせる。この音の繊細さは録音では届かない。生でないと駄目だといつも思う。そこには魂と呼ばれるようなものが確かにある。この場に居合すことが出来て本当に良かったと思った。帰る日にツバメが低く飛んでいた。ツバメが低空を飛行しているのは気圧が下がっているからだ。虫が地面に這っているからだ。数日後に嵐が来る。激しい雨が再び、路上を叩く。
2021年5月19日 豊田利晃




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